きらら舎鉱物倶楽部TOP鉱物手帖01水晶

鉱物手帖について
サイズ:A6
ページ:16ページ
印 刷:オフセットフルカラー
価 格:¥300(通販¥315)(おまけ付き)

鉱物・標本カフェ開催日に合わせて発行予定です。
「鉱物倶楽部や手帖についての説明」、「鉱物に関する基礎知識について」を少し、 「各号にて取り上げる鉱物について」、鉱物・標本カフェおよびその補習として カフェにて行う「理科時間の実験や観察の手引き」をその内容としています。

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「水晶という鉱物について」の補足
鉱物の中で、まずは一番誰もが知っている「水晶」を第一号となる今回、取り上げました。
地球はその中心に核があり、そのまわりにマントルがあって、そのマントルを覆うように地殻があります。 多くの鉱物はマントルの近くに近い部分(上部マントル)で生まれ、火山作用によって地表近くにまで持ち上げられます。 しかし、水晶はマントルではなく、地殻内部で生まれます。
クラーク数(アメリカのクラーク博士が、地殻の物質を化学分析して、そこに存在する元素を多い順に順位付けした数字) では1位が酸素で2位が珪素。主にこの2つの元素が地殻の74%を占めます。 水晶(石英)の化学組成式はSiO2であるとおり、2つの酸素イオンと1つの珪素イオンで表されます。 これが世界中で水晶が産出される原因です。
酸素は2つの電子を余分に持ち(マイナス2価)、珪素イオンは4つの電子を失って(プラス4価)となりやすい、これがイオン化傾向です。酸素イオンと珪素イオンはそれぞれの電荷を埋め合わせるように結合し、酸素イオン2つと珪素イオン1つが結びつきます。

『鉱物手帖01』において、水晶の分類を「珪酸塩鉱物」「酸化鉱物」の両方記載しています。 日本で出版された多くの図鑑や鉱物に関する専門書では「酸化鉱物」としています。 海外の図鑑では「珪酸塩鉱物」に分類されているものが多く、今回は珪酸塩の説明なども出るため、「珪酸塩鉱物」という記載が 多くなっています。
発行後、専門家の方にうかがったところ、「酸化鉱物」とは酸素のマイナスイオンが金属のプラスイオンと結合して化合物になった ものを指し、「珪酸塩鉱物」とは珪酸塩が基本となっているものなので、「酸化鉱物」に分類するほうがいいとのことでした。

「いろいろな水晶」の補足
【紅水晶】
水晶と石英という名称はずいぶん昔から、その区別について論議されてきましたが、 現在では、「肉眼で結晶が確認できるものを水晶とする」という定義が一般的となっています。
そうなると、多く出回っている紅水晶と呼ばれるピンク色の塊は紅石英と呼ぶべきものとなります。

「水晶の螺旋」の補足
水晶は化学組成式ではSiO2と表します。 珪素Siの元素一つに酸素原子2つが結合して、まずは水晶を構成する水晶の分子ができます。
ただし、これは石英(水晶)を表す化学組成式上の元素の数で、 実際には三角錐の頂点に小さな酸素原子(イオン)があり、 その中心にピッタリはまり込むように大きな珪素原子(イオン)があり、これが珪酸塩の基本形です。 この頂点の酸素を共有して三次元的に重合しています。
ただし、水晶の結晶構造としてよく本でみかけるものはダイアモンド型のクリストバライトの結晶構造のものがほとんどです。 この図には水晶の螺旋構造を想像させる要素はありません。
水晶は、珪酸塩の四面体が3回螺旋軸、または6回螺旋軸に規制された配列を持っています。このことが鉱物学での結晶系や 結晶学でのキラリティなどと関連してくるのですが、それは豆本などに仕立ててみることにして、 つまりは珪酸塩の四面体の各面をわかり易いように4色に塗り分けたとします。これが3つつながったところ、あるいは6つつながったところで見ると、1回転して角度が重なることがわかります。ちょうどそんな風に螺旋を描いて、水晶は成長しているのです。 そして、その螺旋がどっち巻きかによって「右水晶」「左水晶」と区別されます。ただし、 この螺旋構造が右巻きのものを「左水晶」、左巻きのものを「右水晶」と、左右の名称と元素の螺旋は実は逆です。 水晶のこの螺旋は光を旋廻させる性質(旋光性)があり、「左水晶」は左旋光性を示す水晶のことで、「右水晶」というのは右旋光性を示す水晶のことというとわかり易いかもしれません。
理科時間では、視覚的に水晶の螺旋を観察できます。旋光性やこれを観察する道具(きらりビュアー)の光学系などは 冊子「鉱物手帖01」に掲載しています。
きらりビュアーはカフェにお越しの方はいつでも見ることができますので、お気軽にお申し出ください。
また、きらりビュアーでは水晶球を観察します。これは光の屈折をさけるためですが、水晶の螺旋の中心軸 は水晶の成長方向(C軸)に重なりますので、光を真っ直ぐ通す結晶をC軸に垂直にスライスしたものの両面にきらりビュアーと同様の偏光子、検光子、波長板を配置すれば同様に螺旋をみることができます(カフェにて販売しています)。
また、螺旋の向きはわかりませんが、その螺旋を渦(エアリースパイラル)として観察できる「水晶観察箱」もあります。

「水晶の音」の補足
水晶振動子としての水晶の役割については「鉱物手帖 01」に掲載しましたが、 この周波数が低くなれば、発振子から振動音が聞こえてきます。
一般的には20KHz以下で聴けるそうなのですが、年をとるとだんだん高い周波数の音は聴こえなくなります。 カフェで現在、水晶の音が聴ける道具は2KHz以下のものです。わたしでも聴くことができましたので、 みなさんもきっと聴けると思います。
聴いてみたい方は、ご来店の際にお申し出ください。
なお、鉱物フェア開催時には簡単な理科時間ワークショップの復習も兼ねて30分ほど プチ理科時間を設けます。

鉱物手帖表紙
鉱物手帖裏表紙


水晶観察箱
水晶観察箱(水晶球付き¥735)    >>購入

エアリースパイラル
水晶観察箱でみたエアリースパイラル(水晶球のコノスコープ像)